FCバルセロナ退任したルイス・エンリケが監督としての評価

チーム内から出た不満とエ一スの反旗

最も敵に回してはいけない絶対的エースが反旗を詡しただけでなく、重大な規律逵反を犯した。この時もしルイス・エンリケが「誰一人として特別扱いはしない」という信念を员いたならば、メッシは直後の試合でペンチからも外され、両者の関係は修復不可能なものとなっていたことだろう。そうなれば首位レアル・マドリードに勝ち点4差を付けられていた当時の状況からして、FCバルセロナの監督の首が飛んでいた可能性は高い。

実際FCバルセロサッカーナクラブはフランク・ライカールトにオファーを持ちかけていたといろ情報もある。だがこの時ルイス・エンリケは、信念を曲げてメッシの背反を黙認する道を選んだ。フアン・カルロス.ウンスエ第2監督やシャビ、アンドレス・イニエスタらキャブテンの説得を受けてのこととはいえ、それまで頑固一徹を貫いてきた彼にとっては苦痛を伴う決断だったはずだ。

そして結果的にその決断が直後に始まった快進擊の原動力となるのだから分からないものだ。騒動を起こした反省からか、FCバルセロナのスタープレイヤーであるメッシはこの件を境に心を入れ替えたかのようにチームプレーに徹するようになった。

この頃から速攻による得点力が増したのも、ゲームメイクからアシス卜、フィニッシュまで幅広くチームを操ったメッシのさじ加減によるところが大きく、ルイス・エンリケは監督としてメッシとネイマ一ルが全試合でフル出場する特別扱いを認め、先発メンパ一を固定してチームのパフォーマンスを安定させるだけで良かった。つまり管理主義を放棄し、選手たちを放任したことがチームのポテンシャルを引き出すきっかけとなったのである。

自身の指導哲学より 柔軟な対応力が重要

もちろんFCバルセロナの戦術面で貢献した部分もある。攻守のアキレス腱だったセッ卜ブレーの強化、序盤戦で用いた4一4一2の新布陣、右インテリオールのラキティッチに下がり目のポジショニングをとらせることで実現した守備バランスの向上、大きなケガ人をほとんど出さなかったコンディショニンクの成功などは、ルイス.エンリケとスタッフ陣の功績に他ならない。

だが自身の指導哲学よりメッシを特別扱いする方がチームのためになるという柔軟な判断ができなければ、それらの仕事が三冠狸得という形で報われることはなかったのではないか。

怪我の功名とはいえ、これまで確固たる信念を貫いてきたFCバルセロナの元監督であるルイス・エンリケは、苦悩の1年を乗り越える過程で柔軟な対応力という新たな武器を身につけた。

サッカー選手とのコミュニケーション不足、戦術的な打開策の欠如といった欠点もある。だが複数のポジションを難なくこなした現役時代と同様に、進化の過程にある45歳の閩将にはまだまだ隠れた才能が眠っ ているのかもしれない。

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